ミクロ政治データ分析実習

第14回 可視化(3)

(そん)  財泫(じぇひょん)

関西大学総合情報学部

2024-07-11

授業開始前に

すぐに実習できるように準備しておきましょう。

  1. JDCat分析ツールを起動しておいてください。
  2. 本日授業用のプロジェクトを作成してください。
  3. LMSから実習用データ(2つ)をダウンロードしておいてください。
  4. ダウンロードしてデータをプロジェクト・フォルダーにアップロードしてください。
    • プロジェクト・フォルダー内にDataフォルダーを作成し、そこにアップロードしましょう。
  5. 実習用コードを入力するスクリプトファイル、またはQuartoファイルを開き、以下のコードを入力&実行してください。
library(tidyverse)

# csvファイルののアップロード先に応じて、パスを適宜修正すること
df <- read_csv("Data/countries.csv")
COVID_df <- read_csv("Data/covid_2022_06.csv")
  • トラブルが生じた場合、速やかにTAを呼んでください。
  • 時間に余裕があれば、スライド内のコードも書いておきましょう。

期末テスト

  • 2024年7月18日14時40分〜16時10分(授業時間中)
  • 指定席に着席すること
  • 通常の課題と同じ手順
  • 16時10分まで出来たところまでLMSに提出(.html形式)
    • 16時10分を過ぎると、提出窓口ページを開いていても提出できない。
    • 残りは持ち帰って2023年7月18日(期末テスト当日)23時59分まで再提出
  • 採点
    • 持ち帰り分は5割減点
    • 4限中に9問以上回答して提出すること(全て正解である必要はない)
    • 各問題の配点は履修者の正解率に応じて調整する。
  • 詳細はサポートページ > 課題 > 期末テスト実施要領を参照
  • 不正行為禁止

代表的な5種類のグラフ

5 Named Graphs (5NG)

  • 棒グラフ (bar plot)
    • geom_col()
  • ヒストグラム (histogram)
    • geom_histogram()
  • 箱ひげ図 (box plot / box-and-whisker plot)
    • geom_boxplot()
  • 散布図 (scatter plot)
    • geom_point()
  • 折れ線グラフ (line plot)
    • geom_line()

散布図

散布図の必須要素

散布図を作成する際に必要な最低限の情報

データにフリーダムハウス・スコアと人間開発指数のが必要

  • x: 点の横軸上の位置
    • フリーダムハウス・スコア
  • y: 点の縦軸上の位置
    • 人間開発指数
  • 原因と結果の関係(因果関係)が考えられる2変数の場合、原因を横軸結果を縦軸にする。

データの読み込み

第9回実習用データ(countries.csv)を使用

library(tidyverse)
df <- read_csv("Data/countries.csv")

散布図の作成 (1)

幾何オブジェクトはgeom_point()を使用

df |>
   ggplot() +
   geom_point(aes(x = FH_Total, y = HDI_2018))

散布図の作成 (2)

ラベル修正 / 必要に応じてカスタマイズ

df |>
   ggplot() +
   geom_point(aes(x = FH_Total, y = HDI_2018), color = "royalblue") +
   labs(x = "フリーダムハウス・スコア", y = "人間開発指数 (2018)")

次元の追加

散布図における次元の追加

  • それぞれの点は各国の (1) フリーダムハウス・スコアと (2) 人間開発指数の情報を持つ
    • = 2次元
  • 更に情報を持たせるためには…
    • 色分け: color
    • 大きさ: size
    • 形: shape
    • 透明度(非推奨): alpha
    • ファセット分割
  • 5次元以上のグラフも可能だが、3次元までを推奨
    • 一つのグラフの情報が多すぎると読みにくくなる
    • 4次元以上になりそうならファセット分割で対応
    • 3次元の場合、色分け(color)を推奨するが、白黒の図を作成する場合は形(shape)を使う。

5次元の散布図

各点はフリーダムハウス・スコア、人間開発指数、人口(対数変換)、大陸、OECD加盟有無の情報を持つ

df |>
   mutate(OECD = if_else(OECD == 1, "Member", "Non-member")) |>
   ggplot() +
   geom_point(aes(x = FH_Total, y = HDI_2018, color = Continent,
                  size = Population, shape = OECD), alpha = 0.65) +
   scale_size_continuous(trans = "log10") +
   labs(x = "Freedom House Score", y = "Human Development Index (2018)",
        size = "Population (log)") +
   theme_gray()

色分けの例

aes()の内部にcolor = 色分けする変数を指定

  • HighIncome変数を作成し、PPP_per_capitaが2万以上なら"高"、未満なら"低"
  • HighIncome値に応じて点の色分けを行う(color = HighIncome
  • 点の大きさは2とする(全体に適用させるため、aes()の外側に指定)
  • labs()内で凡例タイトルを修正; 凡例を下側へ移動
scatter_plot1 <- df |>
   drop_na(FH_Total, HDI_2018, PPP_per_capita) |>
   mutate(HighIncome = if_else(PPP_per_capita >= 20000, "高", "低")) |>
   ggplot() +
   geom_point(aes(x = FH_Total, y = HDI_2018, color = HighIncome), 
              size = 2) +
   labs(x = "フリーダムハウス・スコア", y = "人間開発指数 (2018)",
        color = "一人当たりPPP GDP") +
   theme(legend.position = "bottom")
scatter_plot1

色のカスタマイズ

colorにマッピングされている変数(HighIncome)が離散変数

  • scale_color_manual()を使用(引数はvalues = c("値1" = "色1", "値2" = "色2", ...)
scatter_plot1 +
   scale_color_manual(values = c("低" = "orange", "高" = "royalblue"))

{ggplot2}で使える色

  • 文字列で指定
    • "red""blue""royalblue"など(全657種類)
    • Googleなどで「ggplot2 color」で検索(
  • RGBカラー(HEXコード)で指定
    • 細かく調整可能(16,777,216種類の色)
    • 例) "#FF0000": 赤、"#4169E1": ロイヤルブルー

色の見本 (一部)

shapeの見本

shapeで指定(デフォルトはshape = 19

  • 黒の部分はcolor、グレーの部分はfill(またはbg)で調整
    • 21と22の場合、枠線はcolor、内側の色塗りはfill
  • 0〜14の場合、中身が透明

折れ線グラフ

折れ線グラフの必須要素

折れ線グラフを作成する際に必要な最低限の情報

データに日と新規感染者数のが必要

  • x: 線の傾きが変化し得る点の横軸上の位置
  • y: 線の傾きが変化し得る点の縦軸上の位置
    • 100万人当たり新規感染者数
  • 散布図とほぼ同じ
  • ただし、線が2つ以上の場合groupsが必要
    • 点をグループ化しないと、どの点を繋げば良いかが分からないため

データの用意

授業サポートページから実習用データ(covid_2022_06.csv)をダウンロード

  • 整然データとして加工済み
  • Day: 日付(2022年6月); NewCases: 100万人当りCOVID-19新規感染者数
COVID_df <- read_csv("Data/covid_2022_06.csv")
COVID_df
# A tibble: 15 × 3
   Country   Day NewCases
   <chr>   <dbl>    <dbl>
 1 Japan      23    132. 
 2 Japan      24    127. 
 3 Japan      25    132. 
 4 Japan      26    113. 
 5 Japan      27     76.0
 6 Korea      23    140. 
 7 Korea      24    132. 
 8 Korea      25    122. 
 9 Korea      26     66.8
10 Korea      27    192. 
11 Taiwan     23   2022. 
12 Taiwan     24   1913. 
13 Taiwan     25   1689. 
14 Taiwan     26   1658. 
15 Taiwan     27   1196. 

線が一本の場合

geom_line()幾何オブジェクトを使用

  • x: 点の傾きが変化し得る点の横軸上の位置
  • y: 点の傾きが変化し得る点の縦軸上の位置
  • 日本の行のみを抽出し、横軸を日、縦軸を100万人当たり新規感染者数とした折れ線グラフを作成
COVID_df |>
   filter(Country == "Japan") |>
   ggplot() +
   geom_line(aes(x = Day, y = NewCases)) +
   labs(x = "日 (2022年6月)", y = "100万人当たり新規感染者数 (人)")

よく出るメッセージ

折れ線グラフを作成する際、以下のようなエラーメッセージが表示され、グラフが出力されない場合がある。

  • 原因は不明
geom_path: Each group consists of only one observation. Do you need to adjust the group aesthetic?


【解決策】 このようなメッセージが出た場合は、aes()の中にgroup = 1を追加すると解決できる。

  • 普段から付けておく習慣を付けた方が良い。
COVID_df |>
   filter(Country == "Japan") |>
   ggplot() +
   geom_line(aes(x = Day, y = NewCases, group = 1)) +
   labs(x = "日 (2022年6月)", y = "100万人当たり新規感染者数 (人)")

線が二本以上の場合

groupに線のグループ変数を指定

  • 国別の折れ線グラフの場合、国変数を指定
COVID_df <- COVID_df |>
   mutate(Country = case_when(Country == "Japan" ~ "日本",
                              Country == "Korea" ~ "韓国",
                              TRUE               ~ "台湾"),
          Country = factor(Country, levels = c("日本", "韓国", "台湾")))

COVID_df |>
   ggplot() +
   geom_line(aes(x = Day, y = NewCases, group = Country)) +
   labs(x = "日 (2022年6月)", y = "100万人当たり新規感染者数 (人)")

各線がどの国を示すのかが分からない…

線が二本以上の場合

colorで色分け: 国別の折れ線グラフの場合、国変数を指定

  • 線をやや太め(1.5)にする
    • linewidth: 全線に適用させるためにaes()の外側に
    • 線が細すぎると色が区別しにくい
COVID_df |>
   ggplot() +
   geom_line(aes(x = Day, y = NewCases, group = Country, 
                 color = Country), linewidth = 1.5) +
   labs(x = "日 (2022年6月)", y = "100万人当たり新規感染者数 (人)", 
        color = "国")

次元の追加

多くの折れ線グラフは既に3次元

  • 日(x)、新規感染者数(y)、国(group or color
  • これ以上次元を増やすならファセット分割で対応するのが賢明
  • ファセット分割せずに次元を増やすなら…
    • linewidth: 線の太さ
    • linetype: 線のタイプ(1 = 実線、2 = 破線、3 = 点線、…)
      • 白黒図の場合、colorでなく、linetype
    • alpha: 透明度

線のタイプ

  • 主に白黒図で使用
COVID_df |>
   ggplot() +
   geom_line(aes(x = Day, y = NewCases, group = Country, linetype = Country),
             linewidth = 1) +
   labs(x = "日 (2022年6月)", y = "100万人当たり新規感染者数 (人)", 
        linetype = "国")

自分で線のタイプを指定したい場合は

データ |>
  ggplot() +
  ... +
  scale_linetype_manual(values = c("日本" = 1, "韓国" = 2, "台湾" = 3))

linetypeの見本

種類が多くなると区別しにくいため、最大3つ程度

  • 実線(1)、破線(2)、点線(3)
  • 一つ面に登場する線は3〜4本程度まで(色分けも同様)

折れ線グラフ + 散布図(コード)

geom_point()geom_line()を重ねる

  • 後(先)に書いたレイヤーが前面(背面)に
  • 傾きの変化が激しくない場合に有効
  • 点は線より大きめに
  • 白黒印刷に備え、点の形分けも可能
COVID_df |>
   ggplot(aes(x = Day, y = NewCases, color = Country)) +
   geom_point(aes(shape = Country), size = 3) +
   geom_line(aes(group = Country), linewidth = 1) +
   labs(x = "日 (2022年6月)", y = "100万人当たり新規感染者数 (人)", 
        color = "国", shape = "国") +
   theme_bw()

折れ線グラフ + 散布図(図)

箱ひげ図

箱ひげ図とは

変数の分布を示す方法の一つ

  • 最小値、最大値
    • ひげの両端
  • 第一四分位数、第三四分位数
    • 箱の上限と下限
  • 中央値(第二四分位数)
    • 箱内の線
  • 外れ値がある場合、点

変数の分布をグループごとに見る時に有効

箱ひげ図の作成

人間開発指数 (HDI_2018) の箱ひげ図

  • x、またはyに分布を確認した変数をマッピングする
    • xにマッピングするか、yにするかによって箱の向きが変わる
df |>
   ggplot() +
   geom_boxplot(aes(y = HDI_2018)) +
   labs(x = "", y = "人間開発指数 (2018)") +
   theme_bw()

次元の追加

yにしかマッピングされているため、まだ次元追加の余地が残っている

  • xにマッピング(大陸ごとのHDI_2018の箱ひげ図)
  • 更に次元を追加したい場合は、ファセット分割
df |>
   ggplot() +
   geom_boxplot(aes(y = HDI_2018, x = Continent)) +
   labs(x = "大陸", y = "人間開発指数 (2018)") +
   theme_bw()

カスタマイズ(色)

箱の色を変える

  • すべての色を変える場合、aes()外側fill
  • 箱ごとにの色を変える場合、aes()の内側にfill
df |>
   ggplot() +
   geom_boxplot(aes(y = HDI_2018, x = Continent), fill = "cornsilk") +
   labs(x = "大陸", y = "人間開発指数 (2018)") +
   theme_bw()

df |>
   ggplot() +
   geom_boxplot(aes(y = HDI_2018, x = Continent, fill = Continent)) +
   labs(x = "大陸", y = "人間開発指数 (2018)") +
   theme_bw() +
   theme(legend.position = "none") # 凡例の削除

カスタマイズ(箱の幅)

  • aes()外側widthを指定
df |>
   ggplot() +
   geom_boxplot(aes(y = HDI_2018, x = Continent), width = 0.5) +
   labs(x = "大陸", y = "人間開発指数 (2018)") +
   theme_bw() +
   theme(legend.position = "none")

横軸と縦軸の交換

箱が多すぎて読みにくい場合、xyを交換も良い

df |>
   ggplot() +
   geom_boxplot(aes(x = HDI_2018, y = Continent)) +
   labs(x = "人間開発指数 (2018)", y = "大陸") +
   theme_bw(base_size = 14) +
   theme(legend.position = "none")

最後に

その他のグラフ